みんみ
フィンランドの夏休みは6月から始まる。
そのため5月はフィンランド全体に浮ついた雰囲気が漂っている。
一方、学生さんは「もうすぐサマージョブが始まる!」とドキドキする時期だ。
サマージョブとは主に大学生がする夏季バイトのこと。
フィンランドの学生はこのサマージョブで就業経験を積んだり、単位をとったりする。
就職には欠かせない経験だと言われ、重要視されている。
といっても、サマージョブを得るのは楽ではない。
特に大学の単位をもらえるような仕事をするには、ライバルとの競争で勝たなければいけない。
外国人学生の場合、難易度はさらに上がる。
そこで今回は、私がサマージョブをもらうまでの話と、サマージョブを得るためのアドバイスを7つにまとめた。
- フィンランドのサマージョブについて
- 私がサマージョブをゲットした時の話
- サマージョブを得るための7つのアドバイス
いきなりアドバイスが読みたい人は目次から飛べます。
サマージョブとは
フィンランドは社会人でも長い夏休みをとる。
1ヶ月以上の休みを取る人もザラにいる。
※全員が長い休みを取れるわけではない
※1年目の社員は例外。
「そんな長く休んで、会社は回るの?」と思ってしまうが、大丈夫。
学生が代わりに働いてくれるのだ。
フィンランドには休みの社員の代わりに、学生を雇うシステムがある。
「サマージョブ」と呼ばれ、あらゆる企業が利用している。
日本の夏季バイトと違うのは、フィンランドのサマージョブがインターンシップの役割も果たしていることだ。
*もちろん、日本でも似たような学部はあると思います
学生なので全体的に給料は安め。
みんみ
たとえば、医療系の分野を学んでいた私は、病院でサマージョブをすれば単位をもらうことができた。
学生は就業経験と単位を得られ、企業は安く人を雇うことができる、win-winなシステムである。
そのまま就職につながることも
サマージョブは就職の際にアピールになるだけでなく、そのまま就職に結びつくこともある。
企業が学生を気に入ると、「卒業後はうちにおいでよ」と声をかけるからだ。
逆にまったくサマージョブの経験がないと、マイナス評価になることも。
フィンランドの学生にとってサマージョブは超重要なのである。
私のサマージョブを得るまでの話
それではここで、私の経験をお話しよう。
※アドバイスだけ読みたい人は飛ばしてください
私がいた大学でも、サマージョブは重視されていた。
5月になると先生方が、「サマージョブは決まった?」と何度も声をかけていたのを覚えている。
私の学部のサマージョブは病院やヘルスセンターでやるのが基本なのだが、競争はかなり激しい。
大学1、2年目は応募はしたものの、最初から諦めモード。
結局サマージョブはしなかった。
しかし3年目は「今年サマージョブをしないと、就職できないのでは…?」と危機感を持ち、真剣に就職活動をすることにした。
しかし、ネットで応募しても返事なし。
3月ごろに応募先に電話しても「もう決まってしまいました」と言われてしまう。
それでも、私には勝算があった。
夏休み前に病院で長い実習があるので、そこでサマージョブできると考えていた。
ネットの選考で漏れても、実習先で採用された人の話を聞いたことがあったのだ。
しかし実習がはじまり、担当者に改めて聞いてみても「もう雇う人は決めちゃったの」と言われた。
キャンセルが出ていないか人事にまめに問い合わせをしても「空きはありません」と言われてしまう。
仕方ないので、とにかく実習を一生懸命やることにした。
キャンセルが出たら、真っ先に声をかけてもらえるように、と。
できるだけ多くの機械の使い方を覚えたり、雑用をしたり、質問をしたりした。
フィンランド人学生はあまり雑用に手を出さないので、「ジャパニーズ的がんばり」をこれでもか!とやった。
落ち込んでも諦めなかった
そんなある日、私のいる部署で会議があった。
会議室へ行くと、別の部署で実習をしていたクラスメイトのサンナ(Sanna)が指導員と座っていた。
すると、ある職員がサンナに話しかけた。
「サンナ、サマージョブは決まったの?」
サンナ「まだなんです」
「そうなの?じゃあ私が掛け合ってあげるわ!」
…は???
耳を疑った。
そんな推薦枠があるの…?
会議のあと、その職員はボスに「サンナにサマージョブをやらせてあげて…」と話していた。
その後、サンナに聞いてみると、仕事をもらったと言うではないか。
ボスは私がサマージョブをやりたいことを知っていたので、なんで?と思った。
そこで悟った。
そうか、仕事の空きがないんじゃないんだ…。
私を雇いたくないんだ…。
私はひどく落ち込んだ。
それでもボスに「サマージョブのキャンセルありました?」と聞き続けた。
諦めきれなかったのだ。
あまりにしつこいので、気まずい雰囲気になったこともある。
しかし最終日、奇跡が起きた。
ボスに部屋に呼ばれるると、「サマージョブやりたい?」と聞かれた。
私はガッツポーズをし、「はい!ベストを尽くします!」と叫んだ。
サマージョブを得るための7つのアドバイス
私は、なんとかサマージョブをゲットすることができた。
「お情け」で仕事をもらった感はある。
それでも努力が実ったとは言えるだろう。
以下は、私なりに工夫したこと、他の人から聞いた「サマージョブを得るためのアドバイス」を7つにまとめたものだ。
早めに応募する
サマージョブには早めに応募しよう。
たとえば、私の学部では「サマージョブをしたいなら、クリスマス後には応募すること」と言われていた。
言葉にハンデのある外国人学生は、フィンランド人よりも早く動くべきだ。
大学ではリクルートイベントが行われることもあるので、積極的に参加しよう。
みんみ
情報交換する
できるだけ、クラスメイトなどと情報交換しよう。
例えば、応募先の状況や面接で聞かれたことをシェアすると良いだろう。
「XXエリアの採用は終わったけど、○○エリアはまだ募集しているらしいよ」など、有益な情報をもらえることもある。
外国人学生にはシェアできる情報は少ないかもしれないが、例えば電話で問い合わせて言われたこと(もう空きがない、など)も良い情報だ。
電話をかける
フィンランドの就職セミナーでは、必ず「ネットで応募するだけではダメ!必ず電話をかけること!」と言われる。
電話は迷惑じゃないかと心配になるが、フィンランドでは電話をすることでライバルと差をつけることができる。
この時、フィンランド語でスラスラ話せるよう練習しておこう。
ここで失敗すると採用されません。
地方にも目を向ける
大きな都市ほど競争が激しい。
地方にも目を向けよう。
企業が支店を持っている場合、自分がどこまで通えるかも書いておこう。
例えばこんな感じだ。
- 第一希望は○○支店ですが、車があるので、○○エリアにまでなら出勤できます
- 住む場所が確保できれば、○○エリアにこだわりません
※実習やサマージョブをする学生のために、部屋を用意している企業もある。
小さい子供がいる人は難しいかもしれないが、フットワークを軽くするのも戦略。
応募フォーム、履歴書にはミスがないように
応募フォームや履歴書は、ネイティブに確認してもらい完璧にしておこう。
外国人名で、テキストに間違いだらけ…では採用されない。
スペルチェックはワードが便利。
フィンランド語に設定して、スペルチェック機能をオンにすれば、スペルミスや文法間違いを赤い波線で指摘してくれる。
応募中もプロフィールは更新し続ける
ネットの就活サイトを使う場合、自分のプロフィール(職歴、学歴、技能)を登録できるページがあるはずだ。
このプロフィールは応募後もできるだけ更新しよう。
例えば、大学の単位がとれたら「習得した単位」をアップデートするといい。
これはWEBサービスによるが、まめに更新されるアカウントは「アクティブな応募者」として、表示されやすいんだそうだ。
ねばる
5月にもなれば、サマージョブの場所はだいたい埋まっている。
しかし、キャンセルがでるかもしれない。
気になる企業には、ギリギリまで電話を入れてみよう。
その時、「欠員がでたら、いつでも連絡ください」と伝えること。
ところで、上司にサマージョブの声をかけてもらった時、
「あなたフィンランド語はまだ問題ですね」
とハッキリ言われた。
上司は、私のフィンランド語に不安を感じていたのだ。
それでも私を選んでくれたのは、最後までやる気をアピールしたからだ。
そして、「かわいそう」と思わせたからだ(笑)。
そう、ねばりが大事だ。
私の場合、たぶん悲壮感がすごかったんだと思う(笑)。
みんみ
たとえサマージョブを得られなくても…
それでも、サマージョブが得られない場合は…諦めましょう!
ここまで努力すれば悔いはないはずだ。
それに、サマージョブだけが学びの場ではない。
キャリアアップのために、サマースクールに行く手もある。
フィンランド語を勉強してもいい。
ブログを始めても良い(笑)。
仕事が得られないなら、あなたの準備ができていない、ということだ(それはダメなことではない)。
実際、私はサマージョブをしたが、上司の予想通りフィンランド語がダメすぎてトラブルも起こした。
成長の早さは人それぞれ、あまり気にしすぎない方がいい。
あとは楽しい夏をエンジョイしよう!
以上!
長くなってしまい申し訳ない。
当時の自分を思い出したら、たくさん書きたくなってしまった。
サマージョブに興味のある人の役に立てばうれしい。
ではまた~。