フィンランドでは自由にベリーを採ってもいいの?
…このような疑問にお答えします!
フィンランドを訪れたら、ベリー摘みやきのこ狩りに挑戦したい…ゆっくり森を散策したい…
そんな方も多いのではないでしょうか?
しかし、こんな疑問も浮かびます。
- 自由に森に入っていいの?
- 勝手にベリーやきのこを採ってもいいの?
- 森にテントを張っても良いの?
このような疑問に答えるのが、フィンランドのJokaisenoikeudet(すべての人の権利)と呼ばれる「自然享受権」。
これは自然を楽しむ時にして良いこと、ダメなことをまとめた法律です。
※名称がJokamiehenoikeudetからJokaisenoikeudetに変更されました
フィンランドで自然に触れる機会がある人は、ぜひ知っておきましょう。
という訳で今回は、フィンランドの自然享受権について、わかりやすくQ&A方式で説明します。
目次から気になる項目をクリック!
旅行者に関係のなさそうな内容は割愛しました。
全文(英語)を読みたい人は、記事の最後にリンクがあります。
気になることは地域のツーリスト・インフォメーションや地元の人に確認を。
Q.「自然享受権」ってなんですか?
フィンランドに滞在する人が持つ「誰もが自然を利用する権利」のことです
フィンランドにはJokaisenoikeudet(ヨカイセンオイケウデットゥ)と呼ばれる法律があります。
直訳すると「すべての人の権利」となりますが、日本では「自然享受権」と呼ばれています。
自然享受権には、誰もが自然を利用する権利と、自然を利用する際に守るべきルールが示されています。
基本的には、
- 自然の中でやって良いこと
- 自然の中でやってはいけないこと
- 土地の所有者や近隣住民へするべき配慮
- 自然の中でする時に、許可のいる行為
…が主な内容です。
例えば、フィンランドでは森を散策する時、土地の所有者の許可はいりません。
これは自然享受権でそう決められているからです。
Q. 外国人にも自然享受権はありますか?
はい。外国人にも自然享受権があります
フィンランドの自然享受権は、外国人もフィンランド人も同じ扱いです。
滞在期間は関係ありません。
3日間の観光旅行でも、永住でも同じです。
申請をしたり、お金を払う必要はありません。
その名の通り「すべての人」の権利です。
Q. 森や野原に自由に入ってもいいですか?
徒歩、自転車、スキー、馬でならOK
徒歩、自転車、スキー、馬に限って、自然を中を行き来することは許されています。
土地の所有者の許可はいりません。
※自然…森、野原、水域など(凍った湖や海の上もOK)。
ただし以下のことは禁止されています。
- 民家の庭に立ち入る
- 利用中の畑に立ち入る
- 騒音を立てる
- 鳥や動物の巣作りを邪魔する
- 環境に悪い影響を与える
- 土地の所有者に不利益を与える
Q. 森でキャンプしてもいいですか?
一時的に滞在することは許可されています
自然の中に一時的に滞在をすることは許可されています。
テント設営、乗り物や船での寝泊まりもOKです。
乗り物に関しては、行き来が禁じられている場合もあるので注意。
滞在が長引きそうな場合は、トラブルを避けるためにも、土地の所有者に話をしておきましょう。
次のことは禁止されています。
- 長期の滞在
- ビーチでキャンプ
- 公園など、公共の広場に滞在する
- 土地の所有者や近隣に迷惑をかける
- 穴を掘る
- あらゆるものの建設(小屋など)
熊が出るエリアもあるので、場所は選びは慎重に!
Q. ベリーやキノコを勝手に採ってもいいですか?
自生するベリー、キノコ、花は採ってもOK
自生するベリー、キノコ、野の花を採ることは許可されています。
そのため、フィンランドでは誰でも自由にベリー摘み、キノコ狩りを楽しむことができます。
一方、採ってはいけないものもあります。
採っても良いもの
- 自生するベリー類
- 自生するキノコ類
- 保護の指定のない野の花
- 落ちている枝
- 落ちている松ぼっくり
- 落ちているどんぐり
採取に許可のいるもの
- 保護の対象になっている植物
- コケ類
- 地衣類
- 小石、石
場所によって採ることが禁止されているものもあるから気をつけてね。
少なくともブルーベリー(ビルベリー)とリンゴンベリー、ラズベリーは採っても大丈夫だよ。
【写真つき】フィンランドで見られる野の花まとめ【現在18種】
Q. 木は自由にとっていい?木の枝は?
木や木の一部を採ることは基本ダメ!
木から枝、葉、樹皮などを採ることは禁止されています。
土地の所有者の許可がない限り、なにも採ってはいけません。
生きている木、枯れ木、倒木も同じです。
- 木を傷つける行為(切り倒す、枝を折る等)
- 木から枝、葉、松ぼっくり、樹皮など、あらゆる物を採ること
- 倒れている木を持ち出す行為
といっても、木に関するものが全てダメな訳ではありません。
- 落ちている枝
- 落ちている松ぼっくり
- 落ちているどんぐり
- 落ちている葉
- 多孔菌(木にくっついてるキノコ)、ただし採取の際に木を傷つけるものはNG
サウナでおなじみのアイテム、ヴィヒタを作る時も許可がいるよ。
Q. 焚き火をしてもいいですか?
焚き火はNGです!
焚き火やキャンプファイヤーには、土地の所有者の許可が必要です。
特に、いきなり地面に薪を組んでやるのはダメです。
ただし、焚き火用の場所があるならOKです。
大抵のハイキング・コースには焚き火やBBQ専用の場所があるので、利用しましょう。
山火事の危険がある場合は、たとえ許可があっても火を使うことはできません。
乾燥した日や風が強い日は特に気をつけましょう。
使った後はしっかり後処理しようね。
あと緊急時(遭難など)は例外です。
Q. ゴミはどうしましょう?
ゴミは持ち帰りましょう
ゴミを捨てる行為は禁止されています。
Q. 釣りをしてもよいですか?
場合によってはOKですが、必ず確認を
フィンランドでも釣りやアイスフィッシングを楽しむことができますが、細かい決まりがあります。
釣り具の種類、なにを釣るか…また釣り禁止のエリアもあります。
例えば、サーモンや川魚がいる急流、流れのある水辺での釣りには許可が必要です。
必ず確認しましょう。
釣りに関してはいろいろ問題があるので、おすすめしません…。
Q. 桟橋や休憩所を見つけました。使ってもいいですか?
「使用禁止」と書かれていない限り、使っても大丈夫です
森や湖のまわりを歩いていると、桟橋やBBQ用の場所があったりします。
これらは「使用禁止」と書かれていなければ、みんなで使うことができます。
基本的なマナーを守って使えば問題はありませんが、ルールが書かれている場合もあります。
Q. 湖や川で遊んだり、水を汲んでもよいですか?
OKですが、環境への配慮を忘れずに
川、湖、海など水の中や凍った水の上の移動は許可されています。
泳いだり、水遊びをしても問題ありません。
- 水域を歩く
- 凍った海、湖、池の上を歩く
- 泳ぐ
- ボートに乗る
- 水を汲む(洗い物に使うこともできる)
もちろん、環境に影響がないことが前提です。
遊泳禁止の場所もあるので注意。
- 食器を湖や川で直接洗わない
- 洗い物に使った水は、水辺から離れた場所に捨てる
- 洗剤や石鹸、コンディショナーを使わないようにする
水辺には水鳥の巣があるので気をつけてね。
あと、夏は藍藻(らんそう)に注意!
リンク
記事の執筆にあたり、参考にしたサイトはこちら。
英語の全文が載っているPDF。
参考サイト(フィンランド語)。
長くりましたが、参考になったでしょうか。
間違いなどがあれば、ツイッターなどで指摘していただけると助かります。
ではまた~。
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幻想的な写真と詩が素晴らしい一冊。