この記事ではフィンランド人の苗字に関するトリビアをご紹介します。

スウェーデン語、勉強不足ですみません。
フィンランド人の名字、どんなイメージがあるだろうか?
ノキア・ジャパンの社長の名字が「ウコンマーンアホ」なのが前に話題になったが、他にもフィンランドにはおもしろい名字がたくさんある。
私自身、フィンランドの病院で働いていた時、日本語に訳すとビックリする名字、響きがおもしろい名字に毎日出会った。
フィンランドには2万以上の名字があり、毎日「おや?」と思う人が必ずいた。
そこで今回は、フィンランド人の名字に関するトリビアをまとめてみた。
- フィンランド人の名字に興味がある人
- フィンランドのトリビアを知りたい人
- 名前を通してフィンランド文化を知りたい人
フィンランド人名字トリビア
ネンで終わる名字が多い
こちらはフィンランドで最も多い名字トップ10。
- Korhonen(コルホネン)
- Virtanen(ヴィルタホネン)
- Mäkinen(マキネン)
- Nieminen(ニエミネン)
- Mäkelä(マケラ)
- Hämäläinen(ハマライネン)
- Laine(ライネ)
- Heikkinen(ヘイッキネン)
- Koskinen(コスキネン)
- Järvinen(ヤルヴィネン)
Nämä ovat Suomen yleisimmät sukunimet – löydätkö omasi? – Kotiliesi.fi
…ネン…ネン…ネン…。
お気づきだろうか。
フィンランドには「ネン」で終わる名字の人がたくさんいるのだ。
フィンランド大使館のホームページに「ネン」について解説があったので引用する。
フィンランド語で「ネン」は通常「小さい」を意味する指小辞だが、名字になると、一族が住んでいた場所を表すことが多い。
「多くの家族が、フィンランド民族確立の動きが起きた19世紀の民族ロマン主義時代に、自然環境にあるものに『ネン』をつけて名字にしました」と、フィンランド言語研究所でフィンランドの姓を研究しているシルッカ・パイッカラは説明する。
名無しの権兵衛にもネン
フィンランドにも「山田太郎/花子(名無しの権兵衛)」にあたる名前があり、ここにもちゃっかりネンがつく。
名無しの権兵衛(山田太郎、花子)
男性 Matti Meikäläinen(マッティッ メイカライネン)
女性 Maija Meikäläinen(マイヤ メイカライネン)
※名字のMeikäläinenは「我々に属する人、という意味」
先日お亡くなりになった元スキージャンパーのマッチ・ニッカネン(Matti Nykänen)だが、より近い発音は「マッティッ・ニュカネン」。
ニッカネンだと、Nikkanenという別の名字とかぶってしまう。
フィンランドにはスウェーデン系の名字の人がいる
フィンランドにはスウェーデン系名字の人が結構いる。
例えばNyman、Lindholm、Lindbergなどだ。
このような名字の人が、みんなスウェーデン系フィンランド人かというとそうでもない。
例えば夫の母方はスウェーデン系名字であるが、完全にフィンランド人である。
ご先祖をたどっていけばスウェーデン人にたどり着くかも?
ところで、スウェーデン語を勉強したことのない私はスウェーデン系名字の読み方が解らない。
一度Hedbergさんが来た時「ヘッドゥベルグ」と言ったら「ヘードゥバリ」と直された思い出が…。
なお、ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンもスウェーデン系のお名前。
日本語に訳すと変な名字の人がいる
知り合いの80歳くらいのおじいさん。
名字はSikiö(シキオ)。
Sikiö=胎児。
80歳の人の名字が胎児…。
フィンランドの副首相Petteri Orpo(オルポ)。
Orpo=孤児。
病院ではSakko(サッコ)さんに会ったことがある。
Sakko=罰金。
意外と多いJuntti(ユンッティッ)さん。
Juntti=田舎者。
どういう経緯で名前がついたが気になって仕方ないHauskamaaさん。
Hauskamaa=おもしろい地。
フィンランド人なのに名字が外国人
フィンランドに来て友人になった人の名前が、Ruotsalainen(ルオツァライネン)=スウェーデン人で驚いた。
フィンランドにはフィンランド人なのに○○人という名字がいくつかある。
- Ruotsalainen(ルオツァライネン)=スウェーデン人
- Venäläinen(ヴェナライネン)=ロシア人
- Virolainen(ヴィロライネン)=エストニア人
なおSuomalainen(スオマライネン)=フィンランド人もいる。
日本で苗字が「日本人」みたいなものか…。
あとSuomi(スオミ)=フィンランドという名字の人も結構いる。
ファーストネームのような名字がある
フィンランドにはファーストネームのような名字がある。
日本語で言ったら「たけし ひろし」「さゆり あいこ」のような、どっちが名字かよく解らない名前だ。
例えばLauri(ラウリ)、Juuso(ユーソ)、Tapio(タピオ)、Marjo(マルヨ)などは名前でも名字でもどちらでも行ける。
なんなら、「Lauri Lauri」という名前になる可能性もある(笑)。
フィンランド人の名字には動物がいっぱい
フィンランド人の名字には動物がかなり隠れている。
森が豊かで、動物が身近だったからだろうか。
- Karhu(カルフ)=くま
- Jänis(ヤニス)=野うさぎ
- Kettu(ケットゥッ)=きつね
- Hiiri(ヒーリ)=ねずみ
- Siili(シーリ)=はりねずみ
- Lumikko(ルミッコ)=いいずな
- Tikka(ティッカ)=キツツキ
- Lohi(ロヒ)=サーモン
- Sääski(サースキ)=蚊
蚊…。
「アホ」がつく名字はまだまだある
フィンランド人のおもしろい苗字としてよく取り上げられるAho(アホ)さんや、Ukonmaanaho(ウコンマーンアホ)さん。
フィンランド語でaho(アホ)は「耕作後に草が生えた畑、土地」という意味。
日本の「野」「畑野」に相当するのではないだろうか?
そのためahoがつく苗字にはいろんなバリエーションがある。
- Ahola(アホラ)
- Ahokainen(アホカイネン)
- Ahokas(アホカス)
- Kataja-aho(カタヤ-アホ)
- Aholaita(アホライタ)
- Hieta-aho(ヒエタ-アホ)
- Kieloaho(キエロアホ)
- Sauna-aho(サウナ-アホ)
日本語で考えると「アホかいねん」「アホらいた」「冷えたアホ」「消えろアホ」とおもしろく感じるだろう。
しかし発音が微妙に違うので、実際アホさんに会っても、それほど気にならない。
日本語で書くとインパクトはあるけどね…。
フィンランド人の苗字を調べられるサイト
フィンランド人の苗字を調べる時は、こちらのサイトがおすすめ。
英語/フィンランド語だが、「右クリック→日本語に翻訳」でも結構読める。
Surname Info: Family names in Finland
以上!
ところで、フィンランド政府観光局には、自分の名前を入力することでフィンランド人名をくれるフィンジェネレーターというサービスがある。
詩的な名前が出てくるので、ブランド名やアカウント名のアイディアに使えそうだ。
今度は名前(ファーストネーム)についても書いてみようと思います。
ではまた~
片桐はいりさんのフィンランド滞在記。
「かもめ食堂」の撮影裏話も。
フィンランド人の不思議な(?)性質。