イメージはYle uutiset(23.10.2019)
こんにちは!フィンランド在住みんみ(@mimmi_nurinpain)です。
当ブログではフィンランドやエコ情報をお届けしています。
さて、本日はフィンランドの差別について。
フィンランド公共放送YLEで紹介された調査によると、フィンランドでは、外国人名だと能力があっても面接に呼ばれにくいんだそうです。
記事はこちら(フィンランド語)。
フィンランドで就職したい人には気になるニュースです。
という訳で今回は、「フィンランドの名前による差別」について書いてみたいと思います。
名前による隠れた差別
Yleで紹介されていた調査は「労働市場における隠れた差別」を見つける趣旨で行われました。
やり方は以下のとおり。
- フィンランド、イギリス、ロシア、イラク、ソマリアの5つの民族的バックグラウンドを持つ求職者のグループを作る
- ハローワークにある飲食、ケータリング、小売、オフィスワーク、清掃、接客の求人に応募する
- どのグループがどれだけ面接に呼ばれたかを集計する
求職申し込みは2016年から2017年にかけて5000通送られました。
応募者の経歴は、みんなほぼ同じに作られています。
*学歴、職歴、フィンランド在住歴、言葉のハンデに差はなし
調査でわかったことは、応募者の名前と母国語が、面接に呼ばれるかに大きく影響することでした。
全文を読みたい方は、こちらでレポートを購入できます(英語)。 参考 When the Name Matters: An Experimental Investigation of Ethnic Discrimination in the Finnish Labor MarketWiley Online Library
経歴が同じでも、名前と母国語がハンデに
先ほども書いたように、応募者の経歴はほぼ同じです。
選考が公平なら、どのグループも等しく面接に呼ばれるはずですよね?
しかし1000通の応募に対しフィンランド人名は390人、イラク人名は194人、ソマリア人名はたったの99人という結果になりました。
フィンランド人名とソマリア人名だと約4倍も違う!
ランキングは以下の通り。
- フィンランド人女性名
- フィンランド人男性名
- イギリス人女性名
- イギリス人人男性名
- ロシア人女性名
- ロシア人男性名
- イラク人女性名
- イラク人男性名
- ソマリア人女性名
- ソマリア人男性名
業種、エリア、雇い主の性別、応募期間はそれほど影響しなかったそうです。
名前と母国語だけがネックになったと分析されています。
調査では面接に呼ばれやすいタイプも解りました。
一番人気がフィンランド女性名。
女性の方はどのグループでも有利。
ヨーロッパ人名も好まれやすいという結果に。
最下位はソマリアの男性名でした。
男女差について「女性はルールを重んじる労働者と思われたか、移民男性は移民女性より脅威とみなされやすいのかも?」と書かれていました。
でも、建築や製造などの業種があれば、また比率は変わりそうですね。
フィンランドでは何語が話されている?公用語とそれ以外の母国語トップ5
ここで気になるは「じゃあ、日本人の名前は?」ということ。
おそらく日本人名が有利に働くことはないと思います。
そもそも名前を見ただけで、日本人か分かる人は少ないでしょう。
ただ「非ヨーロッパ人」として処理されるのでは。
ノリコ・トヨタ、アキラ・クロサワなど、明らかな日本人名だと多少は違うかもしれません。
※日本車のトヨタはフィンランドでも有名。日本人女性の名前=ノリコといういイメージがある。
なお首都圏エリアを中心に、名前、年齢、性別などを隠した匿名の応募を実験的に取り入れているそうです。
また今は移民二世、三世がどんどん増えているので、徐々に状況は変わるかもしれません。
ただ、すぐ差別をなくすのは難しいでしょうね。
外国人のフィンランド就職は難しい
という訳で、業界によっては外国人は応募の段階で不利なことが解りました。
悲しいですね。
差別は良くないです。
しかし文句を言うだけでは食いっぱぐれてしまうので、外国人は作戦をもって就活した方が良さそうです。
たとえば、
- 外国人にオープンな業界を狙う
- 応募した後、電話をしたりオフィスを訪れてアピールする
- インターンやジョブトレーニング制度を利用する
などが有効だと思います。
特に電話によるアピールはやっておいて損は無いでしょう。
やる気が伝わるだけでなく、先入観を取りのぞく効果もあります。
キャリアカウンセリングでは「電話めっちゃ大事!」と言われます。
※ちなみに、この調査に出てくる外国人はフィンランド生まれか、就学前にフィンランドに来たという設定です。
【経験談】フィンランドでサマージョブを得るための7つのアドバイス
日本でも同様の差別はありそう
ところで、このような記事を書くと「フィンランドは外国人差別が特別ひどい」という印象を与えるかもしれません。
しかし、ぶっちゃけ日本でも似たような差別があると思います。
「田中花子」と「ハロネン・タルヤ」の就活には、確実に差が生まれるのではないでしょうか。
私は夫の名字を名乗っていますが、日本で就活するならやっぱり旧姓を使おうと思いますし…。
20年以上日本に住んだ肌感覚で、そういう差別があることは感じます。
もちろんフィンランドや日本に限った話ではありませんよ。
参考 匿名履歴書、移民・女性にプラスの効果(ドイツ:2012年7月)労働政策研究・研修機構(JILPT)
匿名応募がもっと増えたらいいな
あと、この問題の面倒なところは、外国人名だから不合格なのか、履歴書がダメで不合格だったのかは、内部告発があるか統計をとるまで解らない点ですね。
書類選考の段階で起こる差別は見えにくいです。
ということで個人的にはフィンランドでも日本でも、仕事でも入試でも、もっと匿名応募が増えると良いなと思います。
以上!
ではまた~。
海外移住前に読みたい本。