
フィンランドの離婚制度や離婚率を紹介します!
こんにちは!フィンランド在住のみんみ(@mimmi_nurinpain)です。
今回はフィンランドの離婚事情を紹介します。
フィンランドは離婚率が高い国なんてウワサも聞きます。
実際どうなのか調べてみました。
私の聞いた例も混ぜつつ、フィンランドの離婚事情、離婚率、離婚原因などを紹介します。
複雑なケースもある日本の離婚

「離婚するのに○年もかかった…」
日本の離婚に関する本やブログを見ると、こんなセリフを目にします。
離婚に時間がかかる人、多いんですよね。
日本にはカップルが同意して届けを出せば終わる「協議離婚」があります。
一方、どちらかが離婚したくないケースは、調停や裁判をすることもあります。
協議離婚をのぞいて、日本の離婚は複雑と言えるのではないでしょうか。

特にモラハラ系のブログを見ると「離婚届不受理申出を…」「調停が不成立に終わり…」などとあり、苦労する人も多いようです。
フィンランドの離婚制度

では、フィンランドはどうでしょうか?
フィンランドは日本と違い、一人でも離婚の手続きを始めることができます。
相手が「別れたくない!」と言っても関係ありません。
条件を満たせば、確実に離婚ができるシステムです。
もちろん、2人で手続きを始めることもできます。
ただし、ポイントは「申し立ててすぐ離婚」とならないこと。
もう一つステップを踏む必要があります。
フィンランドの離婚申請は2ステップ「再考期間」

カップル、もしくはカップルの片方が離婚申請をした後「harkinta-aika(ハルキンタアイカ)」という6ヶ月の再考期間が始まります。
この間、婚姻関係は維持されます。
申請した時に2年以上の別居期間が無ければ、再考期間は必ず持たなければいけません。
6ヶ月が過ぎ「やっぱり別れたい」となれば2度目の申請をします。
そこで晴れて離婚成立という流れです*。
*再考期間のスタートから1年以内に手続きをしないと、申請は無効になります。
なお2度目の申請も、どちらかが離婚したければOKです。
両者の合意はいりません。
別れたい人には良いシステムと言えます。
カップルが揃って申請した場合、再考期間はすぐ始まります。
片方の場合は相手が「離婚申請されました」の通知を受け取ってから始まります。
名字はそのまま
なお日本と同じように、離婚後も同じ名字を使うことができます。
旧姓に戻したいなら申請をしなければいけません。
子どもはどうなる?

ここで気になるのは子どものことです。
フィンランドの制度を簡単に説明しますね。
カップルに18歳以下の子どもがいる場合は、親同士で取り決めを行います。
- 子どもが住む場所
- 子どもの養育者
- 子どもとの面会交流
- 養育費
これらを役所に届け、執行されるようセッティングします。
なお、子どもが両親の家を行ったり来たりするのはOKですが、住所はどちらかを選択しなければなりません。
この時、共同で監護権を持つか、片方が監護権を持つかも決めます。
共同監護権の場合、
- 子どもの名前
- 言葉
- 宗教
- 教育
- 健康や財産の管理
…などに関することを両親が一緒に決めます。
片方が監護権を持つ場合は、一人で決断を下します。
ここで交渉が決裂すると、調停が行われるようです。
この際に注意したいのが「ハーグ条約」です。
ハーグ条約は、どちらかの親による海外への子ども*の連れ去りを防ぐもので、フィンランドも日本も締約国です。
*フィンランドは16歳以下
自分の子どもでも、勝手に海外へ連れ出せば誘拐となる可能性があります。
フィンランドは離婚率が高いって本当?

ここからはフィンランドの離婚率について。
調べてみると、離婚率はいろいろな方法で計算できるようです。
ここでは厚生労働省が言う「離婚率」を見てみましょう。
日本の総務省統計局の資料によると、次の通りです。
同じ年ではありませんが、フィンランドの離婚率は10年ほど安定しているので、大差ないと思います。
日本 1.7(2017年)
フィンランド 2.4(2016年)
※人口1,000人に対する1年間の離婚数
これを計算すると、フィンランドの方が日本より約1.4倍離婚率が高いことになります。

ただ、フィンランドは事実婚が多いので、その辺の背景が考慮されているかは不明ですね。
「フィンランドの離婚率は50%」ってどこから来た?
ところで「フィンランドの離婚率は50%」と聞くことがあります。
これは、一年間の離婚件数を婚姻件数で割った数字のようです。
1年間に結婚するカップルが100組、離婚するカップルが50組。
50組 ÷ 100組 ✕ 100=50%
その年の離婚率は50%。
ここで両国の「離婚数÷婚姻数」を5年分ほど計算してみました。
確かにフィンランドは約51~53%です。
日本のは約34~35%でした。
日本でも「3人に1人」と言われたりしますが、この計算から来ているのはないでしょうか。
この数字は当てにならないと指摘する人もいます。
婚姻件数が多い年、少ない年もありますし、少子高齢化なども影響しているからです。
計算に使った資料は以下から見られます。
参考 Changes in marital status 2017Statistics Finland
体感としての離婚の多さ
私の体感では「日本に比べて異常に多くはないが、少なくもない」といった感じです。
クリスマスの時期になると「父の家でクリスマスを祝った後、母の家でクリスマス・ディナーを食べる」と別れた両親を順番に訪ねる話をよく聞きます。
これは「フィンランドあるある」かもしれません。
フィンランドで離婚率が高いのはなぜか
ところで、フィンランドの2.4という数字、世界ではどの程度のものなんでしょうか?
こちらのサイトでは、フィンランドは世界で5番目に離婚が多い国として紹介されています。
世界的にも高いと言って間違いないでしょう。
参考 日本の離婚率を世界と比べてみた!世界の離婚率ワースト5と日本で離婚率が高い年代 Menjoy! メンジョイ
残念ながら、離婚率が高い理由を説明したソースは見つけられませんでした。
しかし、せっかくなので様々な資料を読んだ私見をまとめました。
次の3点が原因かなと思います。
- シンプルな離婚制度
- 偏見が少ない
- 女性が経済的に自立しやすい
①シンプルな離婚制度
フィンランドでは1人でも離婚申請ができます。
再考期間を待てば、必ず離婚となります。
このシステムは少なからず離婚率を上げているのではないでしょうか。
日本は調停や裁判など、時間もお金もかるケースがあります。
離婚まで辿り着けない人もいそうです。
別居して何年も経つが、籍は入ったままということもあるでしょう。
②偏見が少ない
フィンランドでは離婚が多い分、偏見も少ないと考えられます。
別れることが恥だと思ったり、周りに批判されることも少ないはずです。
これには心理的ハードルを下げる効果があります。
また離婚経験のある人も、割とすぐ新しいパートナーを見つける印象があります。
交際相手の離婚歴を気にしないのかもしれません。
③女性が経済的に自立している
女性が経済的に自立しているのも、離婚が多い理由ではないでしょうか。
パートナーの収入に頼って暮らしていたら、嫌でも結婚生活を続けなければいけません。
また、フィンランドは福祉が充実しているので、生活を国が支援してくれたりします。
女性を取り巻く環境も大きく影響していそうです。
離婚原因は?

最後に離婚原因についてです。
いろいろ資料を見たのですが、どれも「カップル間コミュニケーション」という理由が挙げられていました。
フィンランドの女性向け雑誌「anna」の記事では、次の8点が原因になりうるとしていました。
- コミュニケーションに問題がある
- 感謝やリスペクトがない
- マンネリ化(関係のメンテナンスをしなくなる)
- 浮気
- 愛情がなくなる
- 精神的暴力(嘘、嫉妬、脅迫など)
- パートナーの社会的、精神的なサポートが十分でない
- 価値観の違い
Suomalaisten avioerojen 8 yleisintä syytä – tunnista hälytysmerkit
日本も同じような理由が出てきそうですね。
余談ですが、フィンランドでは8月に離婚が多いらしいです。
夏休みにパートナーと過ごす時間が長くなるのが原因だとか…。

日本でもリタイア後に一緒にいる時間が伸びて、関係を見直す人がいるよね。
まとめと私の考え

以上が私が調べたものです。
最後に私の離婚に対する考えを述べてみます。
離婚=悪、ではない
SNSに「フィンランドは良い国かもしれないけど、離婚率が高い」と、鬼の首を取ったように書く人がいます。
確かに離婚にはネガティブなイメージがあります。
しかし「離婚率が高い=悪い」ではないと思います。
以前、ニッポン放送ラジオの『テレフォン人生相談』というリスナーの悩みに答える番組をよく聞いていたのですが、「経済的に自立できないから離婚できない」と言う日本女性の多さに驚きました。
離婚できずに不幸になっている人は多いんですよね。
離婚は悲しいですが、愛が無いのに一緒にいるのも悲しいです。
そのため、女性でも男性でも、離婚をしても十分やっていけるフィンランドは良いなーと思います。
(もちろん、前回の記事のAさんのような状況は、できるだけ避けるべきですが…)
ということで、今回は以上です!
ではまた~!