こんにちは!フィンランド在住のみんみ(@mimmi_nurinpain)です。
フィンランドに来て以来、「ありがとう」という言葉について考えるようになりました。
ありがとう。
多くの人がこの言葉にポジティブな印象を抱きます。言われると私も嬉しくなりますし、美しい言葉です。
しかしフィンランドに来て以来、日本人はちょっと言い過ぎでは?と思うことが増えました。
という訳で今回は、フィンランドで考えた「ありがとう」について書いてみます。
フィンランド人は「ありがとう」が少ない?
フィンランド人は日本人に比べて「ありがとう」と言う回数が少ないです。
普段はあまり感じませんが、特に接客を見てると違いを感じます。
これは決してフィンランド人に感謝の気持ちがない訳ではありません。
細かくいちいち言わずに、去り際にまとめて「ありがとう」と言う人が多いということです。
そのため日本の感覚でいると「あれ?今、ありがとうって言われるタイミングなのにスルーされた?」と驚くこともあります。
例えば、こんなことがありました。
それは良かった…で終わりかい!
以前、完全予約制の整体に通っていた時のことです。
ある日「今日の予約時間を20分遅らせることができますか?」と整体師からメールが来ました。
特に予定もなかったので了承したら、その返事が「それは良かった^^」の一言とニコニコマークでした。
私はとっさに、そこは「ありがとう」じゃないのぉ???と思いました。
ちなみに、20分ずらして整体師と会いましたが、感謝されるとか、謝られるとかは無かったです。
これについてフィンランド人数名アンケートを取ったところ、
「整体師は無礼ではない。フィンランドでは自然なやり取り。まあ、ありがとうくらいは言っても良かったかもね。」
という意見が大半でした。
みなさんなら、どう思います?
客と売り手の上下関係
最初こそ「そこはありがとうでは?」と思った私ですが、フィンランド人の意見もわかります。
だって、私には何の不都合も起きていませんし、たった20分の移動です。
ドタキャンされた訳でもありませんし、断ることもできました。

整体が終わってクリニックを出る時に「ありがとう」とは言われました。
でも日本だと「おや?」と思うのが普通で、なんならクレームになるかもしれません。
だんだん、これは日本の店と客の上下関係の強さが関係しているかも?と思い始めました。
日本では、客のどんな小さな行動にも感謝を示すのが基本です。
お客さんが「上」、店が「下」。
一方、フィンランドでは店と客が一直線上にいる感覚があります。
もちろん店や人によりますし、20分をどう捉えるかも違います。それに日本の接客の良さは海外でも有名で素晴らしいと思います。
「ありがとう」を減らす実験
ところで、フィンランドの病院で働いていた時「ありがとう」を言う回数を減らす実験をしたことがあります。
というのも職場で私だけ患者さんに「ありがとう」と言う回数が多かったからです。
私は患者さんの一挙手一投足に感謝の言葉を投げていました。
- 社会保障番号を言ってくれてありがとう
- 椅子に座ってくれてありがとう
- 腕を動かしてくれてありがとう
- …(この間に何十回と細かいありがとう)…
- 最後に来てくれてありがとう
ある日、同僚と同じ部屋で処置をしていた時、自分の「ありがとう」が多すぎてうるさいことに気が付きました。
そこで、「ありがとう」と言う回数を減らしてみることにしました。
関係がよりフラットに
「ありがとう」を減らしてすぐは落ち着きませんでした。
しかし徐々に慣れていき、フィンランド人と同じくらいの回数になりました。
おもしろかったのは、「ありがとう」と言う回数を減らすと、患者さんとの関係がよりフラット、対等に感じられることでした。
例えば心電図。
前は「患者さんから心電図を取らせていただく」という気持ちでした。
しかし、徐々に「患者さんと心電図を取る」という気持ちになっていきました。
もちろん日本的な「お客様第一主義」も心の中にはあります。
しかし、自分の言動を変えることで、患者さんとの心地の良い距離感を感じられました。
去り際にまとめて「ありがとう」と言う文化も悪く無い、と思ったのを覚えています。
逆もあり
ただ、日本に来れば逆になります。
日本では夫の「ありがとう」の回数が少なくてヒヤヒヤします。
特に私の両親や目上の人に対してです。
たとえばこんな会話。
母「ウチのおじいちゃんの日本刀見たいですか?」
夫「はい!」
母「じゃあ、持ってくるね。はい、これです」
夫「わーすごいですね」
母「…」
夫「…(最後にまとめて「ありがとう」と言う予定)」
私「(夫よ、今ありがとうと言うのだ…!)」
夫は自分のタイミングで感謝を伝えるつもりです。
しかし、日本では夫のやり方がフィットしていないと感じました。
まとめ-「ありがとう」を意識する
日本には「ありがとう」が好きな人が多いと思います。
Jpopを聴いても、ドラマを見ても、よく感謝のメッセージを強調しています。
それは素敵なことです。
しかし、それに囚われ「ありがとう」を連発すると、過剰な上下関係が生まれることもあるかもしれません。
私はたまに自分にこう問いかけます。
- 感謝しなくて良いことに「ありがとう」と言ってないか?
- むしろ感謝するべき人に「ありがとう」と伝えてるか?
- 「ありがとう」という言葉で、うやむやにされている問題はないか?
- 不安をまぎらわすために言ってないか?
決して、「言うな、減らせ」と言いたい訳ではありません。
でも意識的に言う回数をコントロールすると、気づくことがあるかもしれませんよ?という話です。
なんなら日本とフィンランドを足して割るのがちょうど良いかもしれません。
みなさんも心地の良い「ありがとう」の回数を探してみてください。
以上、ではまた!

久々の更新でした!