言語学習の「難しさ」「簡単さ」は文法や発音だけで決まらない

先日、英語のテキストを読んでいたら、フィンランド語より英語の方が圧倒的に簡単だと感じた。

こう書くと、

「英語は英語で深い文法の世界がある」
「フィンランド語より英語の発音の方が難しい」

と言う人もいるだろうし、

「フィンランド語には20を超える格変化があって、英語の比じゃない」
「フィンランドにもÄとかÖとか、ちょっと面倒な発音がある」

と賛同してくれる人もいるだろう。

どの言語にもそれぞれ難しさがあり、母国語によって難易度が変わるので、一概に比べることはできない。

しかし英語は解らない単語、フレーズをネットで簡単に調べられたことにいたく感動した。フィンランド語は「フィンランド語→英語→日本語」と長ったらしい翻訳作業をしなければならない時が結構あるのだ。よく「フィンランド語は難しい」と言われるが、難しいと言われる要因はこの「翻訳に時間がかかる」ことかもしれない(いや、もちろん文法もややこしいです。ハイ)

フィンランド語のようなマイナー言語を勉強していると、常々「言語の難しさって文法や発音だけじゃ測れないよね?もっといろんな要素があるよね?」と感じる。そこで、今回はそれぞれの言語が持つ特徴以外の「習得の難しさ、簡単さは何で決まるのか」を考えてみた。

要素1: 正確な情報の集めやすさ

グーグルで「英語」と検索してみよう。ヒット件数、約453,000,000 件

f:id:freeandlight:20190111213437j:plain

 

「フィンランド語」で検索してみよう。ヒット件数、約19,900,000 件

f:id:freeandlight:20190111213454j:plain

 

差は歴然。

フィンランド語の検索結果も、辞書や学習サイト、個人ブログなどが多くヒットし、決して悪くないのだが、やはり英語にかなわない。英語は初心者向けから上級者向けまで、あらゆる情報が網羅されている。

  • おすすめの参考書、アプリ
  • 例文やフレーズのまとめ
  • 発音の練習動画

英会話教室に行かなくても上達が期待できそうだ。

情報の多さは、正確な情報の集めやすさでもある。マイナー言語だと、間違った翻訳が結構ころがっている。数が増えるほど玉石混交になるという指摘もあるだろうが、マイナー言語は間違いを指摘する人が少ないのと、情報の比較ができないぶん、正確さを判断しにくい。

余談だが、以前やっていたブログに、翻訳ミスしたフィンランド語を載せてしまったら、その間違った翻訳をツイートしている人がいて「ごめん…」となった。

まとめ

情報の手に入れやすさ=習得のしやすさ

質の良い情報を簡単に手に入れられるほど、その言語の習得は簡単になる。

 

要素2: 学習にかかる費用

f:id:freeandlight:20190111215154j:plain

ネットで何でも学べる時代とは言え、紙の本はコンパクトにまとまっていて、真剣に学びたい人は書籍に目が行く。でも一言で言って、高いよね


↑このフィンランド語辞書もなかなかのお値段。

語学関連の書籍はえてして高めだけれど、マイナー言語ほど値段が上がる。古本も少ないし、図書館も期待できない。

さて、言語学習で大切なのは、話すこと、聞くこと。今は「Hello Talk」などのアプリでネイティブと簡単に交流ができるようになったが、実際に会って話すほうが得られる情報も多いし、モチベーションがあがる。

HelloTalk – Talk to the World

しかしマイナー言語になる程、教室や先生を探すのに苦労する。授業料も高いかもしれない。ネイティブと話すためにホームステイや留学をするにしても、マイナーな国ほど高くつく傾向に…。

まとめ

勉強にお金がかかるか=習得に時間がかかる

少ない予算で学ぼうとすると、限界が来てしまう。

コストが低くすむ言語ほど、学習しやすい。

要素3: モチベーションの維持しやすさ

f:id:freeandlight:20190111220009j:plain

「この言語の響きが好きでたまらない」とか「好きな人が○○人」なら良いが、マイナー言語を習得したところで、いったいどんなメリットがあるだろう?

例えばフィンランドの人口は約500万人。全員がフィンランド語を話したとしても、東京の人口の半分である。履歴書に「フィンランド語ができます」と書いても、評価してくれる企業はあまりない。今の時代「英語そこそこ、中国語もちょっとイケます」と書いた方が、採用されやすいに決っている。

道に迷ったフィンランド人を助ける機会なんてそうないし、そもそもフィンランド人は英語が得意な人が多いので、英語の方がよっぽどスムーズに会話できるかもしれない。

勉強することにメリットを感じられないと、モチベーションは落ちていく。(私がもし日本にいたら、フィンランド語は選んでなかったと思う…)

まとめ

勉強にメリットを感じられる=学習を続けやすい

意識して「勉強して良かった」と感じられるようにしないと、投げ出してしまう。

学習することでメリットを感じられる言語ほど、習得しやすい。

まとめ

第二言語を選ぶ時、文法や発音などに目が行きがちだが、学習環境も大きく影響することも覚えておきたい。そのため「どうしてその言語なの?」「どんな風に勉強できるの?」をちょっと想像力を働かせて考えてみるのをおすすめする。

まあ趣味の言語学習なら脳トレにもなるし、「なんとなく○○語」でも良いかもしれない。

でも、得にこだわりがないなら英語が一押しです