春から夏にかけて見られるフィンランドの野の花を紹介します。
自然豊かなフィンランド。
春から夏にかけて、様々な種類の花を見ることができます。
というわけで今回は、写真と簡単な解説つきで、フィンランドで見られる野の花を紹介します。
フィンランド全域で見られるものから、少しレアな種も混ぜてみました。
ちなみに、フィンランド語で花は「Kukka(クッカ)」です。
写真、フィンランド名、和名、学名などをまとめました。
現在は18種ですが、随時更新します!
Kielo/スズラン
Kielo キエロ
和名: スズラン
学名: Convallaria majalis
フィンランドの国花であるスズランはフィンランド語でKielo(キエロ)。
この写真は数年前、Ii(イイ)という自然豊かな場所で撮ったものです。
植物図鑑には南から中央フィンランドにかけては一般的だとありますが、野生のスズランを見たのは一回だけです。
見られたらラッキー!
スズランには毒があるので食べないように。
スズラン属の日本在来変種はC. m. var. keiskeiのみであり、本州中部以北、東北、北海道の高地に多く自生する。北海道を代表する花として知られる。
Metsätähti/ツマトリソウ
Metsätähti メッツァタハティッ
和名: ツマトリソウ
学名: Trientalis europaea
Metsätähti(メッツァタハティッ)は直訳すると「森星」という意味。
名前の通り、星のような尖った花びらを持つ白い花。
日本ではツマトリソウと呼ばれます。
5月~6月頃に花を咲かせます。
道端にも生えており、フィンランドでは身近な存在です。
日本では北海道、本州、四国に分布し、亜高山の草地、半陰地、林縁に自生する。世界では、北アメリカ、ヨーロッパ、シベリア、アラスカ、朝鮮半島等の温帯及び寒帯に広く分布する。
Puna-ailakki/レッドキャンピオン
Puna-ailakki プナアイラッキ
日本での呼び名: レッドキャンピオン
学名: Silene dioica
Puna-ailakki(プナアイラッキ)は日本ではレッドキャンピオンと呼ばれています。
6月から8月にかけて見ることができます。
紫がかったピンク色の花で、道端にいっぱい生えているので簡単に見つかるはずです。
花びらに切れ目があり、全体的に短い毛に覆われているのが特徴。
葉と花は食べられるそうですが、自己責任でお願いします…。
ヨーロッパからアジアにかけて広く分布しています。日当たりのよい草地や荒れ地に生え、高さは25~50センチになります。花や葉は、サラダに利用されるそうです。
Kaunokainen/ヒナギク
Kaunokainen カウノカイネン
和名: ヒナギク
学名: Bellis perennis
Kaunokainen(カウノカイネン)は芝生が広がる場所などで見つけられます。
和名はヒナギク。
似たような花がいくつかあるので、見分けるには葉を見ましょう。
葉がロゼット(地面に葉を並べるように生える)型だと、ヒナギクの可能性が高いです。
原産地はヨーロッパで、原種は芝生の雑草扱いされている。北アメリカ、アジア、オセアニアに外来種として広く帰化している。日本には明治時代初期に渡来し、北海道などの冷涼な地域を中心に定着している。
Voikukka/タンポポ
Voikukka ヴォイクッカ
和名: タンポポ
学名: Taraxacum
言わずとしれたタンポポ。
フィンランドではVoikukka(ヴォイクッカ)と呼ばれ、訳すと「バター花」という意味になります。
フィンランドで「バター花」と呼ばれるのは、かつて「牛が食べるとバターの色がより黄色くなるから」と信じられていたからだそうです。
5~6月あたりにフィンランド中で咲き乱れるので、もっとも親しみのある花と言えます。
葉は食べることができます(こちらも自己責任で)。
多くはユーラシア大陸に自然分布する。
Kevätesikko/キバナノクリンザクラ
Kevätesikko ケヴァットゥエシッコ
和名: 黄花九輪桜(キバナノクリンザクラ)
学名: Primula veris
Kevätesikkoは直訳すると「春サクラソウ」。
この花は注意して探さないと見つからないかも?
黄色く、ラッパのような形が特徴で、一本の茎に多くの花が咲きます。
日本名は黄花九輪桜と書いてキバナノクリンザクラと読みます。
必殺技のような名前ですね。
イギリスや地中海沿岸、アジア南西部が原産です。古くから葉は去痰・鎮静剤として、薬用に使用されてきました。
Oravanmarja/ヒメマイヅルソウ
Oravanmarja オラヴァンマルヤ
和名: ヒメマイヅルソウ
学名: Maianthemum bifolium
Oravanmarja(オラヴァンマルヤ)は日本名ヒメマイヅルソウ。
フィンランド語名のOravanmarjaは「りすのベリー」という意味。
5~6月あたりに白く小さい花をつけます。
花にカタツムリの触覚のような突起がついているのが特徴です。
かわいい。
ハート型の葉もかわいい。
ピョコピョコ出た触覚にキュンとくる
…しかし実には毒があるので食べないように。
栄養豊富な土地でしか育たないので、レア度が高いです。
舞鶴草(ヒメマイヅルソウ)はユリ科マイズルソウ属(マイアンテムム属)の多年草である。
分類体系によっては(APGIII)クサスギカズラ科とされる。本種は北海道から本州の中部地方にかけて分布し、亜高山に生える。
海外では、朝鮮半島、中国、サハリン、カムチャツカ、シベリア、北アメリカなどにも広く分布する。
Keto-orvokki/サンシキスミレ
Keto-orvokki ケトオルヴォッキ
和名: 三色菫(サンシキスミレ/サンショクスミレ)
学名: Viola tricolor
サンシキスミレはパンジーの原産種。
フィンランド語名のKeto-orvokkiは「野スミレ」という意味。
原っぱなどで見られますが、これも注意深く探さないと見つからないです。
紫、黄色、白と華やかな色が特徴。
花によって色合いが異なります。
かつては薬草として使われていたようです。
ちなみに私は「無料のパンジー」と呼んでいました…。
ヨーロッパに広く分布する。
日本には移入されておらず,野外逸出もしていないが、かつて園芸種のパンジーの和名にこの名が用いられたので,年配者はパンジーをこの名で呼ぶことがある。なお現在ではパンジーと本種は別種に扱われている。
Kevätlinnunsilmä/エゾネコノメソウ
Kevätlinnunsilmä ケヴァットゥリンヌンシルマ
和名: エゾネコノメソウ
学名: Chrysosplenium alternifolium
Kevätlinnunsilmä(ケヴァットゥリンヌンシルマ)は日本名エゾネコノメソウ。
猫の目草というのは裂けて開けた果実が、細くなった猫の瞳孔に似ているのが由来らしいです。
一方、フィンランド語名を訳すと「春の鳥の目」になります。
全体的に黄緑なので、花と葉の見分けがつきにくいです。
葉は丸っこく、縁がカーブを描いた鋸歯になっています。
水辺に多く、種は水の流れにのせて広がるそう。
湖や川べりで探してみては?
北海道の東部に多く分布する草たけ10㎝程度の多年草です。葉の名はエゾ(北海道)に生育するネコノメソウであることから付けられたと言われています。
Niittyleinikki/ミヤマキンポウゲ
Niittyleinikki ニーッテュッレイニッキ
和名: ミヤマキンポウゲ
学名: Chrysosplenium alternifolium
Niittyleinikki(ニーッテュッレイニッキ)は和名ミヤマキンポウゲ。
フィンランド語名は「草地キンポウゲ」という意味。
その名の通り、草地に多く自生しています。
5つの花弁を持つ黄色い花と、細長い茎が特徴。
毒があるので食べないでね。
北海道~中部地方以北の亜高山帯~高山帯の湿り気のある場所に生え、雪渓周辺に大群落をつくることが多い。
Pystykiurunkannus/コリダリス・ソリダ
Pystykiurunkannus ピュステユキウルンカンヌス
日本での呼び名: コリダリス・ソリダ
学名: Corydalis solida
Pystykiurunkannus(ピュステユキウルンカンヌス)は「立ちキケマン属」、日本ではコリダリス・ソリダと呼ばれているようです。
なおkiurunkannusはヒバリの冠飾りという意味で、花の形がヒバリの頭に似ていることから来たらしいです。
写真は5月終わりに撮影したもので、6月にはもう見られなくなっていました。
野原や藪に生えており、色がきれいなので探しやすいです。
コリダリスという名前はラテン語のkorydalis(冠飾りのあるヒバリ)に由来しています。これは、コリダリスの花の形が房状になったヒバリの頭に似ているためです。
Korainputki/シャク
Koiranputki コイランプトゥキ
和名: シャク
学名: Anthriscus sylvestris
Koiranputki(コイランプトゥキ)は日本名シャク。
春から夏かけてあらゆる場所で見ることができる、馴染みのある花。
背の高く、白く小さい花を多くつけます。
Koiranpurkiは日本語で「犬の筒」。
シャクは食べることができますが、毒のあるムラサキケマンという植物と葉や茎の形が似ていることから注意が必要。
日本では、北海道、本州、四国、九州、琉球に分布し、山地の湿った場所に生育する。世界ではカムチャツカからヨーロッパ東部までのユーラシアの中北部に広く分布する。
Lapinvuokko/チョウノスケソウ
Lapinvuokko ラピンヴオッコ
和名: チョウノスケソウ
学名: Dryas octopetala
Lapinvuokko(ラピンヴオッコ)は和名チョウノスケソウ。
「ラップランドのイチリンソウ属」という意味。
白と黄色のコントラストが美しい花。
葉は小さく(長くても3cmほど)、端が波打っているのが特徴。
地面に這うように広がります。
一方花の茎は伸びて10cmほどになることも。
北半球の極地および高山に生育する匍匐性の常緑小低木で、バラ科に属する。高山の岩場に群生し花も美しいので知られる。
日本では須川長之助(ロシア人植物学者マキシモヴィッチの助手)が初めて採集したことからこの名がある。
Hiirenvirna/クサフジ
Hiirenvirna ヒーレンヴィルナ
和名: クサフジ
学名: Vicia cracca
Hiirenvirna(ヒーレンヴィルナ)は和名クサフジ。
訳すと「ネズミのそら豆属」となります。
一つの茎に10~30の紫の花をつけ、横から見るとお辞儀をしたような形です。
日当たりの良い、少し乾燥した場所に生えてます。
クサフジ(草藤、Vicia cracca)はソラマメ属に属する多年草。北海道、本州、九州に分布する。和名の由来は、葉と花がフジに似ていることから。
Puolukka/コケモモ
Puolukka プオルッカ
和名: コケモモ
学名: Vaccinium vitis-idaea
Puolukka(プオルッカ)はフィンランドで最も親しみのあるベリーの一つ。
和名はコケモモですが、リンゴンベリーの名前で覚えている人も多いです。
花は薄くピンクがかっており、すずらんのように下を向いています。
常緑の低木で、晩夏にはまるい赤い実を付けます。
そのままでも食べられますが、ちょっと渋いのでフィンランドではジャムなどにして肉料理に添えられます。
Ketohanhikki/ヨウシュツルキンバイ
Ketohanhikki ケトハンヒッキ
和名: ヨウシュツルキンバイ
学名: Argentina anserina
Ketohanhikki(ケトハンヒッキ)はヨウシュツルキンバイ。
花の色や形から、ミヤマキンポウゲを思い起こさせますが別もの。
背が低く、地面に這うように成長します。
葉は小さく、端がギザギザしているのが特徴。
フィンランドでは草原や道端に加え、駐車場の脇など、少し砂利っぽい場所でもよく見かけます。
Valkoapila/シロツメクサ
Valkoapila ヴァルコアピラ
和名: シロツメクサ
学名: Trifolium repens
日本でもおなじみのシロツメクサ。
フィンランド語ではValkoapila(ヴァルコアピラ)と呼ばれています。
apilaはシャジクソウ属という意味で、英語ではクローバーと言います(四つ葉のクローバーのクローバー)。
シロツメクサはフィンランドでも多く生えています。
道端や野原で簡単に見つけられます。
Puna-apila/アカツメクサ
Puna-apila プナアピラ
和名: ムラサキツメクサ(アカツメクサ)
学名: Trifolium repens
シロツメクサに並んで、こちらも日本でもおなじみのムラサキツメクサ。
フィンランド語ではPuna-apila(プナアピラ)と言います。
ちなみに、ムラサキツメクサとレンゲは別物だそう。
知らなかった。。。
まだ撮り貯めた写真があるので、また更新します。
ではまた!