フィンランドには、週単位で場所を借りて不要品を売れる「キルップトリ(kirpputori)」という店がある。※キルッパリと呼ばれることもある
キルップトリは「蚤の市」という意味で、屋内で一年中営業しているフリーマーケットのようなところである。場所をレンタルして商品を並べておけば、店が売上を計算してくれて最終日に払ってくれる。値札を付けたり、商品を陳列するのは少し面倒だが、気軽に始められるので断捨離にはもってこいである。
中古品が安く買えるので、買う側にも嬉しい店でもある。
↑こんな感じのテーブルに商品を並べる
手放した物の90%は覚えていない
2周間ほど前にキルップトリで不要品を売ったら、100ユーロ以上の売上が出た。
売れたのは37点。
嬉しい臨時収入であった。
私が利用しているキルップトリは、品物の売れた日付と額が書かれた明細を渡してくれるのだが、おもしろいことに売った物の90%以上は覚えていない。
※もちろん努力すれば思い出すことはできる
さんざん売ろうか悩んだ品物も、いざ売れてしまうと「この5ユーロの売上はなんだっけ?」となる。売ろうか迷った商品には高い値段をつけがちだが、いざ売り始めると売れ残るのが嫌で平気で値段を下げられるようになるから不思議だ。いざ売れると「これってあのシャツの売上?あーそういえば売ったかもなぁ?」ぐらいの感覚になる。きっとこれを「執着がなくなる」と言うのだろう。
ここ数年かなりの物を断捨離したが、手放した物はほとんど覚えていない。中には印象的な物もあるが、ほんの一部。断捨離に踏み切れない人には心から「大丈夫」と言ってあげたい。
断捨離で「売る」はアリ?
片付け関連の本や記事を読んでいると、「”売る”はおすすめしない」という人がいる。確かに売ることにこだわると片付けが進まない場合がある。「いつか売ろう」の「いつか」が来ないまま時間が過ぎてしまったり、やる気はあってもフリマや不要品の持ち込みをする機会が訪れない時もある。
「売る」の場合、売れ残りの処分も問題だ。次のフリマまで不要品が家に居座り続けることになる。商品が全然売れなかった失敗体験をすると、やる気がなくなることもある。
しかし私は断捨離している人にこそ積極的に売ってほしいと思っている。物の価値を考えなおすきっかけになったり、「持ち物」が「商品」になることで、物への執着の移ろいやすさに気がつけるからだ。自分が客として、いろんな商品があるとありがたい、というのもある。
少し前に「ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償」というドキュメンタリー映画を見て以来、できるだけ自然や労働環境に配慮した買い物をしようと心がけている。 私はミニマリストになりたいと同時に、エコ・コンシャスな人にもなりたいのだ。
今でも誘惑に負けてファスト・ファッションブランド買ってしまうこともあるが、最近は欲しいアイテムがあったらまず中古品をチェックするようにしている。
リサイクルショップに行くたびに「この世にはもうこんなに服が溢れてるんだ。もう作らなくても足りそうだな…」と思う。もちろん服は身体を覆うのが全てじゃないけど。
— ぬりんぱいん (@mimmi_nurinpain) 2017年9月6日
売ることにこだわりすぎて、貴重な時間やスペースを犠牲にしてほしくはないが、少しのやる気を出せば「売る」は良い面がいっぱいある。
日本ではフリマアプリが流行っているようなので、今更とやかく言う必要はないだろうが、不用品を売ったことがない人は、お店やさんごっこ感覚でフリマなどに挑戦してほしい。