フィンランドの職業斡旋業者に合ったらユルい人だった

前回、フィンランドで職業選択心理士のカウンセリングに行った話を書いたが、その前に職業斡旋業者に会った

counseling roomフィンランドで職業選択心理士のカウンセリングを受けて気付いた仕事の悩み

ある日、知らない番号から電話があり、仕事のオファーかと思ったら、職探しのサポートをする斡旋業者だった。
それは大変感じが良い女性で「私たちは求職者のサポートをしています。これはハローワークとの共同事業で、あなたの履歴書を見て連絡しました。明日○○ホテルで説明会があるので来ませんか?」と早口で言った。

無職期間が伸びていること、今の職業に向いていないと悩んでいた時である。
私は仕事を探す助けになるかも?と思い、行きます!と返事をした。

 

指定されたホテルのロビーで待っていると40代くらいの女性が現れた。
話し方の感じから電話をかけてきた人物だろう。
彼女は「こちらへ」と言うと、私をホテルの奥へ案内した。

説明会というのでスクリーンでパワーポイントでも見ると思ったら、通されたのは小さな会議室であった。

テーブルには「やんちゃ坊主」という表現がピッタリの20代前半の男の子がダルそうに座っていた。

「じゃあ始めましょうか!」

参加者たった2人?と思ったが、まあ日本でもこういう説明会はあるかもな、と気にしないことにした。

 

女性は斡旋業者がいかに細やかなサポートしているか一生懸命伝えてくれた。

確かにフィンランドのハローワークはこまめに仕事を紹介してくれない。
3ヶ月に1回「その後どう~?」と電話をかけてくるだけである。
じゃあ、まったく厳しくないかというと、そんなことはない。
ハローワークに「ここで募集があるから面接に行きなさい」と言われたら、条件が合わなくても正当な理由がない限り面接に行かなければならない。

しかし、斡旋業者はかなり細かくキャリアカウンセリングをしてくれるらしい。
ハローワークから「この面接に行け」と司令が来ても、斡旋業者を通して断れる仕組みになっているという。

一通りの説明を終えると、彼女は自信満々に「どうですか?私たちのサービスを使わない理由はありますか?」と聞いた。
確かに断る理由はない。
私は、良いサービスを見つけた!と嬉しくなった。

「ないですね。」
やんちゃ坊主「ないっすね。」

女性はうなずいた。

「そう、私達は若者の職探しをサポートする会社として定評があるんです。」

ん?若者?
そこで私は「若者」という言葉にひっかかった。

「あの、若者ってことは、もしかして年齢制限がありますか?」

彼女はフィンランド人特有の「もちろん」という意味の「ふん」という相槌をうった。

「え、それは何歳ですか?」
「29歳」

チーン。終了。

「あのー、私は30超えてるんですが、それって登録できないってことですよね?」
「ふん」

せっかく履歴書まで印刷したのに…時間の無駄であった。
電話する時に年齢聞いてよ!と、イラっとした。

すぐ帰ろうとしたが、やんちゃ坊主が話し始めたのでタイミングを失ってしまった。
続けて、やんちゃ坊主のために、女性がラップトップで申込み方法の説明を始めた。

彼女はなぜか私に向かって「あなたも見えるかしら?」とラップトップを置き直した。

もしかしたら、フィンランド語を聞き間違えたのかも?と思い、もう一度聞いた。

「念の為に確認しますが、私はもう30歳以上なんで、登録できないんですよね?」
「ふん」
「30歳以上で、サービスを利用する方法はありますか?」
「ないです」

私の聞き間違いではなく、本当に登録できないようだ。

しかし、その女性はなぜかめっちゃ私の目を見ながら登録方法について説明してきた

「まず、このサイトに行って」チラッ。
「ここをクリックして」チラッ。
「会社のメールアドレスに一旦連絡して」チラチラッ。

私は、なんだこりゃ?と思いながら相槌をうった。

最後に女性は「質問はありますか?」と私とやんちゃ坊主の顔を見た。

「いえ」

すると女性は、ああ良かった、という顔をし、私に言った。

「All right!じゃあ、あなたにもメール送っておくわね★」

…なんのために?
登録できないんですよね?

帰り道、おかしくてバスの中で1人で笑ってしまった。
外国に暮らしていると、まれにまったく訳の解らないことが起こる。

彼女は年齢確認をしなかったことをごまかしたかったのだろうか?
やっぱり自分のフィンランド語が間違っていたのか?

しかし、その女性は、善の塊みたいな人で、憎めないなぁと思った。
私は、「ゆるいフィンランド人に会った」と、この経験を理解することにした。

メールはサクッと削除した。